ユーラシア紛争地特別フォーラム(2002年3月9日、早稲田大学小野講堂)レポート
●第4部(1)司会・伊藤氏コメント

問題を直視し、紛争解決のために声を上げよう

伊藤憲一((財)日本国際フォーラム理事長、青山学院大学教授)


チェチェンはナチスのホロコーストに匹敵する

 ご紹介いただきました伊藤です。ここにご出席のチェチェンニュースの大富さん、市民平和基金の青山さんは、私の以前からの仲間です。私たちを結びつけているのは、実はチェチェンなのです。現在、チェチェンでロシアがやっていることは、第2次世界大戦時にナチスドイツがユダヤ人に対してやった、あのホロコーストと同じくらいひどいことだと、常々私は考えています。

 ホロコーストについては、「あのようなことは2度とやってはいけない」という考え方が、いわば世界の常識になっています。ところが、チェチェンについては、だれも、特に欧米は、ロシアのやっていることを、まるで見て見ぬふりが現状です。これは放置できないと考えているのは、日本で私ぐらいかと思っていたら、青山さんをはじめとする市民平和基金のみなさんが、実際にチェチェンまで出かけていって、紛争抑止のために、大胆な行動を起こしておられることを知りました。また、大富さんはマスメディアなどでは伝えられない、チェチェンのビビッドなニュースを、インターネットで毎日のように流して下さっています。

 このように多くの方たちが、特にチェチェンに関して同じ思いをもっていることを知って、心強くもあり、是非この声を少しでも大きなものにしたいと思っています。寺沢さんは第3部で素晴らしいお話をなさいました。寺沢さんのお話が非常に説得力があるのは、彼が実際に現地に行かれて、ロシアの暴虐に苦しんでいる人たちと接して、彼らにふりかかっている災厄を、自分のこととして受け止めておられるからだと思います。

南アフリカのアパルトヘイトを想起させるパレスチナ

 ところで、私は日本予防外交センター(その後、日本紛争予防センターと改名)という紛争予防を目的とする組織を3年前に設立しました。その関係で、パレスチナに行きました。パレスチナで難民キャンプを訪ねて、難民となった人たちの悩み、怒りの声を聞きました。同時に、彼らを監視し抑圧しているイスラエルの圧倒的な軍事力の存在を実見して、「ここにこんな現実があるのだ」と、改めて実感しました。先にチェチェンをナチスのホロコーストに譬えましたが、私にはパレスチナの現実は、かつて世界中が非難した南アフリカのアパルトヘイトに、匹敵するのではないかと思えました。

 やはり私たちは、耳を澄まし目を凝らして、世界の様々な矛盾や問題を直視し、まず関心を持ち、そして、その問題解決のために、適切に行動する勇気を持ちたいと思います。そこで、アフガニスタン、チェチェンの紛争という本日のテーマについて、それぞれのお立場からご発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

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2003 ユーラシア紛争地フォーラム実行委員会