ユーラシア紛争地特別フォーラム(2002年3月9日、早稲田大学小野講堂)レポート
●第3部 欧米先進国と紛争地(1)司会コメント「見えない戦争」を見えるようにするのが課題
若林一平(文教大学国際学部教授)
第3部のテーマは欧米先進国と紛争地です。第3部の課題についてご説明したいと思います。今回の英米を中心とするアフガンに対する攻撃は「見えない戦争」になっています。これがなかなか難しい問題です。ただし、はっきりしていることは西側のあるグループからはよく見えていることです。ところが、それ以外の人たちからは見えていない。そこで、この戦争を少しは見えるようにしたいというのが、第3部の課題です。
最初にお話しいただくのは日本山妙法寺の僧侶をされている寺沢潤世さんです。19歳で出家得度され、以後インドで5年、イギリスを中心にヨーロッパでさらに18年修業し、世界各地で平和活動を続けて自ら遊行僧と名乗っておられます。91年8月、モスクワで開かれたEND欧州非核会議に参加中、クーデタ事件に遭遇、歴史の転換点を実体験されました。寺沢さんはそのままモスクワに留まり、激しく変わっていくロシア、中央アジアを歩き、コーカサスの人たちとの出会いがありました。 94年にロシア軍がチェチェンに侵攻するとすぐに抗議の行動を開始し、95年には非暴力の平和行進「命を慈しむ母たちの行進」を提唱して実行、その後拉致されたこともあります。2000年にはロシア政府からビザの発給を停止されました。寺沢さんは、国際的知名度も高く、ひとつの例としまして、インターネットで検索しますと平和構築のための"Peace Magazine"での紹介、また、国連の人権委員会(the UN Commission on Human Rights)での証言を見つけることができます。
今日は寺沢さんには「遊行僧からみたユーラシア紛争地」という演題でお話しいただきます。
続いてお話しいただくのは、文教大学国際学部教授のデビッド・ロイさんです。ご専門は哲学・思想の分野です。パナマでお生まれになり、アメリカでお育ちになりました。ベトナム戦争では徴兵拒否を貫かれ、文学や実存主義を通って仏教徒となって、1971年にハワイで山田耕雲師に出会い、禅の道に入られました。達磨名(禅宗の僧名)を哲雲といわれます。
9月11日のいわゆる「同時多発テロ」直後に、いち早く「また、悪に対して聖戦をするのか?――一仏教徒の考え――」と題する論文を発表されました。イスラム原理主義者と自警国家アメリカとの間の双子の「聖戦」の相互エスカレーションを、仏教徒の立場から鋭く警告され、国際的に注目されました。
ロイさんは、私たちが通常、大切でよいものと常識的に考えている「フリーダム」、「グローバリズム」などの西欧社会を生み出した根本的な概念を、「全く根拠のないもの」として、鋭く批判しておられます。今日もこのお立場から、「グローバリゼーションは新しい宗教なのか?」という演題でお話しいただきます。
ロイさんのお話の通訳をして下さるのは、井手マヤさんです。マヤさんは当クラブのもっとも古いメンバーのお1人です。そして、アフガンをはじめとする中央アジア地域をくまなく歩いたご経験をお持ちで、もっとも美しい時代のアフガニスタンを、よくご存じであることを付け加えさせていただきます。
それでは、よろしくお願いいたします。
2003 ユーラシア紛争地フォーラム実行委員会