国家民族宗教を超えて―ユーラシアンフォーラム「シリーズ21」
ー<紛争の背景>ユーラシアの潮流を探るー

ユーラシア紛争地フォーラム実行委員会
●第一回ユーラシア紛争地特別フォーラム(2002年3月9日、早稲田大学小野講堂で開催)の記録のアップロードについて

2003年7月8日

ユーラシア紛争地特別フォーラム/文明の衝突と平和のあり方を探る―国家、民族、宗教を越えて―/ユーラシアの紛争地の背景―テロリズムとアフガニスタン、チェチェン―の記録をアップロードしました。


●益岡 賢氏ご講演内容のアップロードについて

2003年4月15日

昨年11月16日に実施した「シリーズ21」第2回ミーティングの概要については、すでにお伝えしていますが、益岡 賢氏のご講演の内容の中に、現在、イラクで起こっている深刻な事態と深く関連した内容が多く含まれていることもあって、益岡氏のチェックをいただいたうえで、特にアップロードするものです。(文責:福井伸彦)

益岡 賢氏ご講演テーマ: 「ならず者国家」とマスメディア報道――チョムスキーの主張を巡って―― (全文掲載)


●緊急アップロード:ペンタゴンのファシズムとも呼ぶべき米国のイラク攻撃が始まった今日、昨年3月9日の第一回のフォーラムにも登場したロイさんのメッセージ新湾岸戦争への仏教徒の反省をアップロードしました。 (2003年3月20日、午後1時)

イラク攻撃へのロイさんのメッセージ:新湾岸戦争への仏教徒の反省(日本語訳)


軍事ジャーナリストの鍛冶俊樹氏を迎えて第3回ミーティング開催

演 題 軍事ジャーナリストから見たユーラシア


 1月25日午後2時より5時まで、早稲田大学文学部において、当クラブのユーラシア紛争地フォーラム実行委員会の主催の第3回ミーティングが開催された。迎えた講師は元航空自衛隊の情報通信将校で軍事ジャーナリストの鍛冶俊樹氏、演題は「軍事ジャーナリストから見たユーラシア」で、折しも「ユーラシアンブルー」を思わせる好天に恵まれて30数名の聴衆が会場につめかけた。
====講演の概要===
●ユーラシア大陸を監視するエシュロン  鍛冶氏はまず「ユーラシア大陸を監視するエシュロン」はもと「太陽の沈まぬ国」と言われた大英帝国のなごりが大きいと指摘する。かつて大英帝国の植民地だった、米国、カナダ、豪州、ニュージーランド、に英国を加えた「アングロサクソン五カ国」のそれぞれの政府の公式機関が担当する世界規模の傍受網がエシュロンである。
 重要なのは、「エシュロンによって、軍事のみならず経済や文化においても有利な位置を確保できる」という点にある。
●エシュロン発覚の経緯
 軍事の世界における「傍受」は日本の自衛隊も含めて世界の常識であるが、軍事情報網を国際的入札や為替変動操作などの経済活動に利用することはまさに「異例」なことであり、フランスが米国のやり方に激怒したのもまさにこの点にあったわけである。
 インドネシアへの通信機器納入を始めとして日本企業が被害にあっている実例が紹介され、他の取引への波及を恐れて企業側が被害そのものについて訴えることもできないでいるという実態が指摘された。
●通貨危機
 エシュロンが国際的にも注目されるようになったのは、「通貨危機」であった。90年代の通貨危機は、92年のポンド危機に始まり、翌年にはフラン暴落が起こる。さらに、95年の史上最高値の円高(1ドル=79.75円)のあと、97年のアジア通貨危機、98年のロシア通貨危機と続く。98年のロシア通貨危機のときはユーゴ内戦に重なり、このとき当時のエリツイン大統領はユーゴ問題について沈黙せざるを得ないことになった。
 鍛冶氏は、米国の「国家安全保障戦略」の基本は「関与と拡大」であり、そこに書かれている内容は経済のことばかりだと指摘する。ここで氏の著書から引用しておこう。
 かつて米国が提唱した経済安全保障はイラクやユーゴの空爆と日本の市場開放を同列に並べていた。今や日本との経済競争は彼らには戦争であり情報はその武器なのだ(鍛冶俊樹『エシュロンと情報戦争』-文春新書-より)
●エシュロンの技術
 傍受技術で主要なものに衛星経由と海底ケーブル経由とがあり、海底の場合は潜水艦が海底ケーブルの傍受技術において重要な任務を遂行している。たとえば、えひめ丸事件のときの潜水艦長は潜水艦の任務についてのPRのために上院議員たちを接待している最中だった。また、インターネットについても、たとえば「ワード」を使った情報のやりとりはマイクロソフト社から丸見えになっていること、など通常見逃されている問題点も指摘された。
●ユーラシアの現在
 イラク周辺には既に12万5千人の部隊が展開しており、イラクは大量破壊兵器を持っている、化学兵器を持っているという前提で事態は展開している。開戦は避けられない状況である。
====会場とのやりとりから===
●会場から
 膨大な費用をかけた傍受に果たして意味があるのか。「アングロサクソン」をコントロールしているグループは想定できるか。グループを想定するにしてもピラミッド構造ではないのではないか。北朝鮮はどうなるか。日米安保は本当に機能するのか。エシュロンと仏、独の関係は。
●講師から
 通信の傍受に対しては気をつけない人が多すぎる。傍受というのはその事実だけでも威嚇になるものなのである。ちなみに日本はエシュロン加盟国ではなくて、エシュロン従属国である。つまり、日本はエシュロンに対して要求できる立場にはいない。自衛隊も通信傍受しているわけだが、大韓航空機事件のときに米国によりその記録が公表されてしまった。米国の記録は公表されなかった。自衛隊の手の内だけ世界に知らされたのである。日米安保が本当に機能するのかという懸念はもっともである。仏、独に加えてロシアもエシュロンに加盟している。911への各国の対応で明白である。情報の共有を前提に行動していた。北朝鮮の展開は「イラク」次第ではないだろうか。
(文責:若林一平)


第2回ミーティング概要
演 題 「ならず者国家」とマスメディア報道
――チョムスキーの主張を巡って――

講 師
益岡  賢 氏 (ますおか けん)

翻訳家、東京東チモール協会所属。1964年生まれ、東京在住。1991年より東京東チモール協会に所属し、ニューズレター編集を担当。著書に『東ティモール 奪われた独立・自由への闘い』(明石書店、1999年、共著) 、『東ティモール2「住民投票」後の状況と「正義」の行方』(同、2000年、共著) 。訳書に『アメリカが本当に望んでいること』(ノーム・チョムスキー著、現代企画室、1994年)、『アメリカの「人道的」軍事主義――コソボの教訓』(同、同、2002年、共訳) がある。チモール・ロロサエ情報ページ(http://www.asahi-net.or.jp/~gc9n-tkhs/)の運営を行っている。個人ページはhttp//www.jca.apc.org/~kmasuoka/。マスメディア論、コミュニケーション論に関心を持つ。

要旨  米国こそが「ならず者国家」であるというチョムスキーの主張は、どのような立場と根拠に基づくものなのか。また、マスメディア報道は、この点をどう扱っているのか。米国の政策を、一般的な流れ、事例(東チモールとイラク)、国連(安保理)決議に対する立場等を振り返って整理し、特に東チモールとイラクを巡る報道の典型的な例を読むことで、マスメディアの位置を分析する。
<レジュメより抜粋>
ジョージ・ケナン(1948年の政策計画研究23)
 我々の人口は世界の6.3 %に過ぎないが、世界の富の約半分を所有している。……こうした状況では、我々が羨みと憤慨の対象となることは避けられない。今後我々が本当にしなくてはならないことは、この均衡のとれない位置を維持できるような国際関係の様式を作り上げることである。そのためには感傷主義と夢想は捨て、あらゆる面で、我々の国家目的に注意を集中しなくてはならない。……人権や生活水準の向上、民主化といった曖昧で非現実的な目標について語ることをやめなくてはならない。我々がはっきりと力によって問題に対処しなくてはならない日が来るのはそう遠いことではない。そのときに、理想主義のスローガンに邪魔されなければされないほど好ましいのだ…
チョムスキーの主張
 …彼の原則は、非常に平凡なもの。「汝殺すことなかれ」「原則の適用は、自他ともに同様になされるべき」 むしろ、詳細なメディアや原資料の分析と引用が、チョムスキーの最も注目すべき点ではないかと思う(しかし、これは、やるきさえあれば、誰でもそれなりにできる)


主催ユーラシア紛争地フォーラム実行委員会 

事務局/特定非営利活動法人(NPO)ユーラシアンクラブ

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